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仲卸業者と卸売業者の違いとは?青果流通の役割を徹底解説
2025年06月05日
「仲卸業者と卸売業者って、どう違うの?」
流通や物流の話になるとよく耳にするこの2つの言葉ですが、その違いを正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
本記事では、それぞれの役割や仕事内容を分かりやすく比較し、業界での位置づけや今後の展望についても詳しく解説していきます。

仲卸業者と卸売業者の仕事内容を比較
仲卸業者と卸売業者は、いずれも商品の流通において重要な役割を担っていますが、その仕事内容や位置づけには明確な違いがあります。
両者の違いを理解することで、サプライチェーン全体の流れや各業者の強み・役割についてより深く把握できるでしょう。
ここでは、それぞれの業界における特徴や位置づけから解説します。
それぞれの業界での位置づけ
卸売業者は、野菜や果物の生産者や農家、大規模な仕入先から大量の商品を購入し、それを小売業者や仲卸業者などに販売する役割を担っています。
一方、仲卸業者は主に卸売市場や流通センターなどで卸売業者から商品を仕入れ、その後さらに小売業者や飲食店などの最終事業者へ商品を届ける存在です。
仲卸業者は、地域や業種ごとのニーズに合わせた細やかな調整や品ぞろえが求められます。
つまり、卸売業者は商品流通の大きなハブとして、仲卸業者はその先で橋渡し的な役割を果たしています。
野菜や果物の仲卸業者と卸売業者の違いを徹底比較
仲卸業者と卸売業者は流通の異なる段階を担い、それぞれ異なる強みと機能を持っています。
ここでは主に、取引先や取扱商品の規模、ビジネスモデル、利益構造、社会的な役割、さらには今後の展望について多角的に比較してみます。
流通の現場で具体的にどのような違いがあるのか、そのポイントを詳しく見ていきましょう。
直接的な取引相手の違い
卸売業者は主に生産者や農家から大量の商品を仕入れ、仲卸業者や大規模小売業者へと卸すという形で取引が行われます。
それに対して仲卸業者は、卸売市場や卸売業者から商品を仕入れた後、さらに小売業者や飲食店、専門店などのより小規模な取引先と直接やり取りを行います。
この違いにより、仲卸業者はきめ細かな対応や地域ごとのニーズへの対応力が求められる傾向があります。
取扱商品や数量の違い
卸売業者は主に大量の単一商品や同一野菜や果物の商品を一括で取り扱い、大規模に流通させることが多いです。
一方で仲卸業者は、卸売業者から仕入れた商品をさらに細分化し、多品種・小ロットに分けて流通させます。
そのため、仲卸業者の方が取扱い品目の幅が広い場合が多く、取引量は少量多品種型となる傾向があります。
この違いが、両者の業務内容や効率の差にもつながっています。
流通経路とビジネスモデルの違い
流通経路においては、卸売業者が川上から川中に位置し、野菜や果物の生産者から大口で商品を受けて分配する役割を果たします。
仲卸業者はその後、川中から川下に位置し、より小規模な事業者や個別のニーズに対応します。
ビジネスモデルの観点で言えば、卸売業者が大規模・効率的な流通と価格競争力を重視するのに対し、仲卸業者は小回りや野菜と果物の鮮度管理、個別対応といった付加価値提供を強みとしています。
利益構造の違い
卸売業者は大量取引や規模の経済を活かし、薄利多売による利益確保を目指します。
取引ごとに得られる利益率は低いものの、取扱高の大きさで全体の売上を確保します。
一方、仲卸業者は、高付加価値の商品やサービスを少量多品種で取り扱うことで、比較的高い利益率を目指します。
取引ごとの対応コストが高いため、商品の鮮度や品質管理により顧客満足度を高めることで差別化を図っています。
社会的役割と期待の違い
卸売業者は、商品を効率的かつ安定的に市場や流通業界へ流すハブ的存在として、サプライチェーンの根幹を支えています。
一方、仲卸業者は地域密着のマーケットにおいて、ニッチな需要や独自の要望に応える調整役としての役割が強調されます。
また、消費者ニーズの多様化や商品の多品種化が進む中、仲卸業者の橋渡し的役割への期待も高まっています。
将来展望・業界動向の違い
近年はデジタル化や物流サービスの進化により、卸売業者・仲卸業者ともに業務の効率化や新たなビジネス機会の創出が課題となっています。
卸売業者は今後もスケールメリットを活かした大規模取引の強化やグローバル展開が期待されます。
仲卸業者はAIやデータ活用による需要予測や新サービスの開発、また地産地消や地域ブランド品の強化など、より個別化・高付加価値型への転換が求められるでしょう。
まとめ|仲卸業者・卸売業者の今後の役割と展望
仲卸業者と卸売業者は、それぞれ異なる立ち位置と強みを持ちながら、日本の流通ネットワークを支え続けています。
今後も社会の変化や顧客ニーズの多様化に応じて、両者は新たな役割や価値創造を担うことでしょう。
デジタル化やサステナビリティへの対応を進めつつ、両者が協力し合うことで、より効率的で高品質な流通体制の構築が期待されています。